プラナリアが脳だらけに!再生医療における研究と不正による影響!!

メディカル
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プラナリアという、脳・神経系を持つもっとも原始的な動物がいます。再生能力が高いので再生や極性の研究によく使用されます。プラナリアにおいて、脳に分化させる遺伝子(ノウダラケ)が発見され、これを阻害すると全身に脳ができ、「脳だらけ」になります。

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プラナリアとは

プラナリアは、大きさ数ミリ以内の小さなナメクジのような動物で、日本ではウズムシといい、川などに生息します。頭部に脳と目があり、神経系や消化器官を備えたもっとも原始的な生物です。

再生能力

プラナリアの頭部を二つに切り込みを入れると、頭が二つに再生します。胴体を水平に切断すると、頭側から尾が、尾側から頭が再生し、二匹になります。同様に三つに切断すると、三匹になります。

100以上に細かく切断しても、それぞれの断片から一匹のプラナリアになるそうです。それ以上に細かく切断すると、さすがに再生せず、また再生には、栄養条件などのいくつかの条件が必要となります。

極性

動物の体において、頭側と尾側、背中側と腹側というような方向性のことを、極性といいます。プラナリアは、いくつに切断しても、この極性が維持され、もともと頭側だった部分から頭が再生するのです。

ノウダラケ

プラナリアのような原始的な動物においても極性が維持されることは大変興味深く、理研と京大の研究グループで、極性をつかさどる遺伝子が発見され、「ノウダラケ(nou-darake)」と命名されました。

この遺伝子の機能を阻害(ノックダウン)すると、頭部以外にも、全身に脳や目ができたプラナリアになってしまいます。

全能性・多能性幹細胞

生物の体には、色々な種類の細胞がありますが、どの細胞にも分化しうる能力を持つ細胞を多能性幹細胞(万能細胞)と言い、とくに一個体にまで再生する細胞を全能性幹細胞と言い、再生医学の分野では非常に重要な細胞です。

多能性細胞には、ES細胞やiPS細胞が含まれています。

分化誘導

多能性幹細胞から、目的とする組織や臓器に正しく分化させることが、再生医療では重要となってきます。目的以外の細胞に分化したり、癌化することを防がないといけないからです。

ノウダラケという遺伝子は、切断したプラナリアの断片において、全能性幹細胞の分化を正しく誘導し、きちんと正しい位置に脳を形成させるのです。

誘導因子

ノウダラケは、脳への分化を誘導する誘導因子(研究中)を頭部の方向に集中させ、誘導因子の濃度勾配を形成することによって、極性を維持していると考えられています。

ノウダラケの産生するタンパク(構造的には、繊維芽細胞受容体に類似します)は、頭部に局在するため、頭部以外の部分に脳ができないようになっていると考えられています。

ノウナシ

ノウダラケとは逆に、脳への再生を阻害し、尾への再生を誘導することによって「脳なし」にする遺伝子も発見され、ノウナシ(nou-nashi)と命名されました。

ノウダラケやノウナシのような遺伝子やたんぱく質、学名などは、発見した者が命名できるのですが、理研の命名には日本語に由来するものが多数あります。

蛍光タンパク質のドロンパ(Dronpa)は、忍者の「ドロン」にかけていますし、ケイマ(Keima)は、将棋の桂馬に由来します。

さいごに

再生医療においては、多能性幹細胞の機能を高めると同時に、それを目的とする組織や細胞に正しく分化するように誘導することが必要です。

そのためには、どのような遺伝子が分化に関わっていて、どうすれば正しく分化するように誘導できるかが鍵となります。

このような重要な研究が日々行われているのですが、一部の研究者の研究不正だけで予算を削減されることによって、その研究の進展に影響するのです。

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