学生時代に、理科の解剖実習を受けたことがある人は多いのではないでしょうか。医学部では、遺体(検体)の解剖を行いますし、理系の学部では、動物の解剖を行います。
現在では、動物愛護の観点から、動物を使用した解剖実習はなくなる方向に進んでいるようですが、その現状や必要性を考えてみましょう。
カエルの解剖
初歩的な実習では、カエルの解剖が多いようです。しかし、最近は、カエルも少なくなったので、ある医学部の実習では、自分の解剖に使うカエルを用意してくるように言われると聞いたことがあります。毎年、大学周辺のカエルを多くの学生が取ってしまうので、絶滅寸前になり、遠くまでわざわざカエル取りに行かないといけないそうです。
かわいそう?
動物の解剖は、生き物の命を奪うことなので、かわいそうという意見もあり、なかなか解剖を手際よく進められないということを聞きます。しかし、手際よく進めないと、動物にとって余計にかわいそうなことになります。
例えば、ネズミ(マウスやラット)の解剖では、首の骨を脱臼させる頸椎脱臼によって安楽死をさせることがあります。下手に感情移入して力が足りず、脱臼が不完全になると、解剖の途中でネズミの意識が戻ったり暴れたりすることがあります。
カエルの場合も、解剖の途中で暴れだし、内臓をまき散らしながら逃げ回り、凄惨な状況になったという話を聞いたことがあります。
動物愛護
無意味に他の動物の命を奪うことは、なくすべきです。しかし、人間が生きていく上で、他の動物の命を犠牲にしているのは、事実です。
食用として食べたり、医薬品や美容・健康用の商品の研究開発のために、多くの動物実験が行われています。そのことを知る良い機会ではないでしょうか。
解剖実習などで直接手を汚さなくても、人間は普通に生きているだけで、間接的に他の動物の命を奪っているのです。
遺体解剖
医学部では、医者になるために、遺体の解剖が必須です。生前の意思で検体をされた方のホルマリン漬けの遺体を解剖し、人体の構造を勉強するのです。
医学部に入学するまでは、ペーパーテストで良い点数を取ることを勉強していれば良かった医学部生が、医者になることと命を扱うことの重みを実感する大きな試練の場になるそうです。
気分が悪くなる学生
解剖実習では、時々気分が悪くなる学生が一定の割合で現れます。女子よりも男子のほうが、倒れるという話をきいたことがあります。
遺体の解剖では、ホルマリン漬けになっているので、血肉の生々しさはあまりないのですが、ホルマリンで気分が悪くなる学生が出てくるそうです。
さいごに
解剖の実習は、他の座学や実験と比べると、生き物(であったもの)を扱うので、重みが違いますし、気分が悪くなることもあるかと思います。しかし、人間が生きていく上で他の命を奪っていることや、医者になる重みを実感する貴重な機会かもしれません。
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